この夏 注目の8人

下手で開眼 練習の虫

滑川総合 照井健人投手

 

安定感抜群の投球でチームを引っ張る照井健人

 右下手から繰り出されるボールは打者の手元で浮き上がった。かと思えば切れのあるスライダー。春季県大会決勝。サブマリンのエースは富士見を5安打1失点に抑え、チームを初優勝へと導いた。まさに大黒柱にふさわしい投球だった。

 中学までは、勝利の喜びをほとんど知らない。ときがわ玉川中のエースだったが、大会ではコールド負け。「強いチームでやりたい」。勝つことに飢えた少年は、滑川総合の門をたたいた。だが、1998年夏の甲子園に出場した部員100人近い大所帯だ。実戦のマウンドは遠かった。

 転機が訪れたのは昨春。上手から下手へのフォーム改造を藤野部長に勧められた。松坂(レッドソックス)ら、あこがれの速球派はみな上手投げだ。悩んだ末、「ベンチに入れるなら」と決断。これが眠っていた可能性を開花させる。

 球威のなかった低めの球に伸びが出てきた。昨夏の埼玉大会では、4番手の投手で初めてベンチ入り。秋からは内田と2枚看板を張るまでに成長した。

 練習の虫でもある。「どこにでもいる投手だから」。身長172センチと恵まれた体格ではない分、練習には一番早く来て、居残りで一人走り込む。「あれほど努力する子はいない」と滝島監督も感心する。自分の力を見極め、必死に下手投げを習得してきたのだ。

 「公立の自分たちでもできるんだということを見せたい」。栄光の味を知った背番号1は、9年ぶりの甲子園へと躍動する。

(2007年7月2日付掲載)

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